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関口 哲弘; 馬場 祐治; 関口 広美*; 今村 元泰*; 松林 信行*; 島田 広道*
Applied Surface Science, 169-170(1-4), p.287 - 291, 2001/06
固体表面上の吸着角度に依存した励起分子の化学反応を調べるため、試料表面から放出される脱離イオン断片の収量を種々の放出角度で観測することができる検出器を設計・製作した。実験システムとしては超高真空チャンバー中で、試料の表面清浄化を行うことができるほかに、放射光の水平偏光面内で回転することができる飛行時間質量分析器を備えている。この装置を高エネルギー加速器研究機構・放射光研究施設に持ち込み、Si(100)上のベンゼン多分子層について予備実験を行った。結果としては、あるベンゼン平面内()に遷移モーメントをもつ共鳴内殻励起において表面平面に対して垂直方向10度以内を向いたベンゼン分子が非常に大きなHイオン脱離(解離)確率を示すことが見いだされた。
関口 哲弘; 下山 巖; 馬場 祐治; 関口 広美*
KEK Proceedings 2001-13, p.24 - 25, 2001/06
本研究会においては最近の研究を紹介するとともに高輝度放射光を用いることにより将来的に拓けるであろう実験研究について議論した。放射光の光子エネルギー連続性と直線偏光性を用い、表面吸着分子の選択励起を行い、真空中に放出される分解反応生成物イオンを観測する実験について述べた。本報告では凝集フッ化ベンゼン(CHF)分子の内殻電子励起による分解反応を中心に述べた。炭素吸収端とフッ素吸収端で大きな分解反応の元素選択性が観測された。分解反応の直線偏光角度依存性実験を行った。C-F結合方向及びベンゼン環平面を規定した内殻電子励起を10,45,90度のX線偏光角度について行った。フッ素内殻電子励起領域においてはC-F解離収量が偏光角度に大きく依存して変化したが、C-H解離収量は偏光角度に依存しない。実験結果はX線励起とその後の緩和,分解が表面分子の配向性に大きな影響を受けることを示した。
関口 哲弘; 関口 広美*; 今村 元泰*; 松林 信行*; 島田 広道*; 馬場 祐治
Surface Science, 482-485(Part.1), p.279 - 284, 2001/06
X線が固体に照射されると、(電子励起により)表面層から分解イオンが放出される。この現象は「電子励起に起因する脱離現象」と呼ばれ、熱的に起こる蒸発や剥離現象と区別され、広く研究されている。最終的に脱離する分解生成物は、おもに(1)表面最上層分子の直接的な分解、(2)固体内部からの二次電子による衝突励起など一連の複雑な過程の結果として生じる。さらに周囲分子や基板からの脱励起の影響も顕著に受ける。本研究においては表面での分子構造や結合方向が分解及び脱離過程に密接にかかわっていると考え、放射光の直線偏光を利用して、分子(中のある結合)の配向方向を規定して(X線)電子励起する実験を行った。この実験を行うため超高真空容器内で回転することができる飛行時間質量分析を備えた装置を開発した。本報告では凝集ギ酸(HCOOH)分子の内殻電子励起による分解反応について報告する。
関口 哲弘; 関口 広美*; 今村 元泰*; 松林 信行*; 島田 広道*; 馬場 祐治
Photon Factory Activity Report 1999, Part B, P. 325, 2000/11
X線照射により固体状分子が分解する場合、表面・界面では表面垂直方向と水平方向で分子のもつ向きにより置かれた化学環境が異なるため、分解過程や最終的な分解生成物パターンや、収量などが異なってくると予想される。これを研究するため、われわれは超高真空容器内で回転することができる飛行時間質量分析を備えた装置を開発し、直線偏光をもつパルス放射光を使った実験を行った。双極子遷移選択則を使い、X線により共鳴励起を行うことにより任意の分子軸(または結合軸)方向を持つ分子集団を電子励起することができる。テスト段階として水、ベンゼン、ホルムアミド、ギ酸固体の軟X線照射実験を行った。分子配向に依存して、分解収量が異なる結果などが得られた。
関口 哲弘; 関口 広美*; 馬場 祐治
Surface Science, 454-456, p.363 - 368, 2000/05
被引用回数:23 パーセンタイル:72.46(Chemistry, Physical)シリコン(Si)半導体上における簡単な炭化水素分子の表面科学反応はSiC薄膜生成などの応用面からの要請も相俟って活発に進められている。本研究においては室温及び低温(93K)のSi基板上にアセトン((CH)CO)を吸着させた系について放射光からの軟X線を励起光源として起こる解離反応を調べた。アセトンは放射光の励起エネルギーを変えることにより、分子中の(-CH3とC=Oの)二種類の炭素原子を選択して内殻励起することができると考えられている。放射光照射により生じるイオン脱離生成物を四重極質量分析により検出した。単分子~約50分子吸着層についてフラグメント収量の励起光エネルギー依存性を測定した。実験結果としてはメチル基(CH)の炭素が内殻励起された場合のみ、CH(n=0-3)イオンが顕著に生成することがわかった。この結果はこの共鳴励起でC-C結合が特に顕著に切断されていることを示唆している。
関口 広美*; 関口 哲弘; 今村 元泰*; 松林 信行*; 島田 広道*; 馬場 祐治
Surface Science, 454-456, p.407 - 411, 2000/05
被引用回数:5 パーセンタイル:32.8(Chemistry, Physical)ホルムアミド(HCONH)はDNAの主鎖でもあるペプチド結合(-NH-CO-)を持つ最も簡単な分子であるため、それの分光学的性質に関する研究が実験及び理論の両面から非常に勢力的に進められている。本研究においては放射光を用いることにより炭素(C)1s準位または窒素(N)1s準位から非占有分子軌道へ共鳴励起を行い、オージェ電子分光、及び、光刺激脱離収量スペクトルのデータを測定した。重水素置換体(DCONHとHCOND)を用い、C-H結合とN-H結合での結合切断における選択性を調べた結果、C 1s励起では(C-D)共鳴ピークがC-D結合に局在化していること、N 1s励起では(N-D)共鳴ピークがN-D結合に局在化していることが結論された。これらのデータは将来、化学結合を選択した生体分子の軟X線顕微鏡観察の基礎となるものと思われる。
関口 哲弘; 馬場 祐治
放射光, 13(2), p.29 - 37, 2000/04
最近行われた固体表面における軟X線光化学反応研究に関して、実例を交えながら解説した。放射光からの軟X線を固体に照射すると内殻電子励起を初期過程として種々の化学反応が引き起こされる。X線励起エネルギーを変えることにより、特定元素が励起できることに着目し、励起エネルギーに対し分解反応がどのように変化するかを概説した。有機珪素化合物などいくつかの試料における反応選択性の現れ方を断片イオンの生成パターンと生成収量の励起X線エネルギー依存性に基づいて議論した。また分解反応の機構を詳細に調べるためわれわれが最近行った「吸着分子層数依存性」と「直線偏光角度依存性」の実験を紹介し、最新の実験結果を元に、全課程をX線吸収による直接的な「一次過程」と散乱電子等に誘起される「二次過程」に分けそれぞれの寄与を求め、反応モデルを論じた。
関口 広美*; 関口 哲弘; 今村 元泰*; 松林 信行*; 島田 広道*; 馬場 祐治
Photon Factory Activity Report 1998, Part B, P. 37, 1999/11
放射光を用いることによりホルムアミド(HCONH)の炭素(C)1s準位または窒素(N)1s準位から非占有分子軌道へ選択的に共鳴励起することができる。本研究においては二種類の重水素置き換え体(DCONHとHCOND)を用いることによりC-H結合とN-H結合での結合切断における選択性を調べた。C-H/C-D,C-N,C=0,N-H/N-Dの各結合はC1s又はN1s吸収端において(C-H/C-D),(C-N),(C=0),(N-H/N-D)に選択励起できる。結果としてC1s励起から(C-N)への共鳴励起ではC-D切断により生じるDが増加し、N1s励起から(N-D)への共鳴励起ではN-D切断により生じるDが増加することが見いだされた。実験結果としては共鳴励起の場合のみ内殻ホールを開けた原子に局在化したイオン性解離が起こっていることを示している。
関口 広美*; 関口 哲弘; 北島 義典*; 馬場 祐治
Photon Factory Activity Report 1998, Part B, P. 66, 1999/11
シリコン(Si)表面と水(HO)との相互作用は半導体プロセス技術に関連して広く研究されている。本研究においては光刺激イオン脱離スペクトルが吸着分子と基板原子との相互作用に敏感に変化することを利用して異なった面指数を持つSi(100)とSi(111)試料についてHO吸着の相互作用を調べた。イオン検出はパルス放射光を利用した飛行時間質量分析法により行った。どちらの試料も軟X線吸収スペクトルはかなり似たスペクトルであったのに対し、両者のH脱離スペクトルはかなり異なったものであった。Si(111)の方がイオン収量が小さく、弱い相互作用に特有な(O-H)ピークが小さい。吸収スペクトルの偏光依存解析からSi(100)ではO-H結合が表面垂直に近いのに対し、Si(111)では平均約55度の傾き角となった。Si(111)ではH原子がよりSi表面第一層と近いため、相互作用が大きくなったものと結論した。
関口 哲弘; 馬場 祐治; Li, Y.; Ali, M.
Photon Factory Activity Report 1998, Part B, P. 67, 1999/11
放射光のX線エネルギーを変化させることにより特定の元素の内殻電子準位を選択的に励起することができる。これは、例えば、ディジタル・エッチング(薄膜吸着→光照射(反応)薄膜吸着→…を単分子レベルで進行させようというアイデア)に応用できる可能性がある。本研究では表面励起とバルク励起の選択性を見積もるため、シリコン(Si)基板上にイオウ(s)化合物((CHS))を吸着させた系に対し、基板(Si 1s)励起と吸着種(S 1s)の内殻励起により引き出される解離反応を調べた。放射光照射により生じるイオン脱離生成物を四重極質量分析により検出した。結果としてはイオウ原子イオンがあるイオウ内殻共鳴励起で生じ、基板Si励起では検出限界以下という大きな選択性が観測された。励起される吸着分子の数は歴される基板原子数に比べ数桁も小さいにもかかわらず、生成収量は大きいという非常に高い選択性が示された。
関口 哲弘; 関口 広美*; 馬場 祐治
Photon Factory Activity Report 1998, Part B, P. 68, 1999/11
シリコン(Si)半導体上における簡単な炭化水素分子の表面化学反応はSiCやダイヤモンド薄膜の生成などの応用面に関連するため広く研究されている。本研究においては室温及び低温(93K)のSi基板上にアセトン((CH)CO)を吸着させた系について放射光からの軟X線を励起光源として起こる解離反応を調べた。アセトンは放射光の励起エネルギーを変えることにより、分子中の(-CHとC=O)の二種類の炭素原子を選択して内殻励起することができると考えられている。放射光照射により生じるイオン脱離生成物を四重極質量分析により検出した。単分子約50分子吸着層についてフラグメント収量の励起光エネルギー依存性を測定した。実験結果としてはメチル基(-CH)の炭素が内殻励起された場合のみ、CH(n=0-3)イオンが顕著に生成することがわかった。この結果はこの共鳴励起でC-C結合が特に顕著に切断されていることを示唆している。
関口 哲弘; 関口 広美*; 馬場 祐治
Atomic Collision Research in Japan, (25), p.82 - 83, 1999/00
シリコン(Si)半導体上における簡単な有機分子の表面化学反応はSiC薄膜生成などの応用面からの興味も相俟って、活発に行われている。本研究においては室温及び低温(93K)のSi基板上にアセトン((CH)CO)を吸着させた系について放射光の軟X線を励起光源として起こる解離反応を調べた。アセトンは励起エネルギーを変えることにより、分子中の(-CH3とC=0)の二種類の炭素原子を選択して内殻励起することができる。放射光照射により生じる脱離フラグメントイオンは四重極質量分析により直接検出した。単分子~約50分子吸着層についフラグメント収量の励起光エネルギー依存性を測定した。その結果、メチル基(CH)の炭素が内殻励起された場合のみ、CH(n=0-3)イオンが顕著に生成することが見いだされた。これはこの共鳴励起でC-C結合が特に顕著に切断されていることを示唆している。
関口 哲弘; 馬場 祐治
Surface Science, 433-435, p.849 - 853, 1999/00
被引用回数:14 パーセンタイル:61.16(Chemistry, Physical)内殻励起領域でのイオン脱離反応における吸着環境の影響を調べた。試料としてSi-F結合とSi-C結合の選択励起のできるSi(CH)F(SiMeF)を使用し、低温冷却したCu表面上にSiMeFを吸着量を制御して吸着させた。Si K殻励起領域の脱離イオン収量スペクトル及び質量スペクトルを種々の吸着量について測定した。単分子吸着系では軽いイオンが観測され、空軌道への共鳴励起によりF脱離収量が増加した。多層吸着では重いイオンが顕著に脱離し、収量の励起エネルギー依存性がほとんどない。単分子吸着系では基板との相互作用による脱励起過程が顕著であることにより励起状態の反結合性がより重要となる。多分子層ではイオン収量は終状態の性質よりむしろ平均電荷数により決まる。約3分子層吸着すると生成物パターンは大きく変化した。これは吸着種-基板間相互作用から分子間相互作用に敏感に変化したことを示す。
関口 哲弘; 関口 広美*; 田中 健一郎*
Atomic Collision Research in Japan, (23), p.84 - 85, 1997/00
電子励起による固体表面からのイオン種の脱離過程は、二次イオン質量分析(SIMS)及び電子刺激脱離(ESD)などの表面分析における重要かつ基礎的な過程である。本研究は選択励起されたSi(100)表面上の吸着ギ酸分子(DC00-)の分解及び脱離課程を光イオン・光イオン・コインシデンス分光法により調べた。C-Dコインシデンス収量の励起エネルギー依存性を詳細に測定し、敷居エネルギー等を決定した。C-Dは炭素内殻励起で生じ、酸素内殻励起ではほとんど増加を示さない。また二電子イオン化(shake-off)の断面積が一電子イオン化(normal)に比較して10%以下であるにもかかわらず、C-D収量はshake-off領域でnormal領域の2倍以上に増加した。このことから、脱離前駆体のイオン価数及び初期光励起における内殻ホールの位置がどの原子にあるか等がイオン脱離反応において重要であることが見い出された。
関口 広美*; 関口 哲弘
Atomic Collision Research in Japan, (23), p.82 - 83, 1997/00
光刺激イオン脱離収量の内殻吸収端微細構造(PSID-NEXAFS)スペクトルは特定の表面吸着種の空軌道の性質等の局所的情報を与えると期待されている。本研究においては、Si基板に単分子吸着したDCOO吸着種からの酸素内殻励起領域におけるPSID-NEXAFSを高分解能軟X線分光器を用いて測定した。結合エネルギーの化学シフトを利用して、二種類の酸素を選択して内殻励起し、それぞれの励起で起こる脱離反応収量の違いを調べた。ヒドロキシ基酸素(-O-)の励起によりCDOイオン収量が増加し、カルボニル基酸素(C=O)の励起ではCD収量が増加した。このことから選択励起された原子の近傍で優先的に結合切断及び脱離が起こることが明らかにされた。また、O収量はカルボニル基酸素の励起で増加した。この結果は、ヒドロキシ酸素が基板のSi原子に直接結合しているため励起エネルギーが基板に散逸したためと考えられる。
関口 哲弘; 関口 広美*; 小尾 欣一*; 田中 健一郎*
J. Phys., IV, 7, p.505 - 506, 1997/00
ギ酸メチル吸着系の炭素(C)および酸素(O)K殻励起により起こる光刺激イオン脱離反応をパルス放射光を利用した飛行時間質量分析(TOF)法により調べた。CおよびO 1s内殻電子励起によりH,D,CH,O,OCH(n=0~3)などの脱離イオン種がTOFスペクトル上で帰属された。また、これらのイオン収量の励起波長依存性を定量的に測定した結果、いくつかの共鳴内殻励起で励起状態における電子構造を顕著に反映して脱離収量が増加することがわかった。脱離機構を更に調べるため、脱離イオン同士での光イオン-光イオン-コインシデンス(PIPICO)実験を試みた。その結果(H-CH),n=0~2コインシデンス・ピークが観測され、またCHイオン収量の励起スペクトルと一致した。このことから、脱離イオン収量の共鳴励起増強効果のモデルとして表面上での多価イオン生成が関与していることが示された。
関口 広美*; 関口 哲弘
Surface Science, 390(1-3), p.214 - 218, 1997/00
被引用回数:9 パーセンタイル:53.09(Chemistry, Physical)我々は炭素原子一つを持つギ酸吸着系(DCOO/Si)において、炭素K殻から3種類の異なる空軌道への遷移の結果、分子軌道が関与した結合が切断されて生じる脱離フラグメントの収量が増加することを既に報告した。本研究においては高分解能軟X線分光器を用いることにより酸素内殻励起領域においてDCOO吸着種の二種類の酸素を選択的に内殻励起し、それぞれの励起で起こる脱離反応収量の違いを調べた。ヒドロキシ酸素(-O-)の励起によりCDOイオン収量が増加し、カルボニル酸素(C=O)の励起ではCD収量が増加した。このことから非局在効果が大きいと考えられる電子をもつ有機分子吸着系においても選択励起された原子の近傍で優先的に結合切断及び脱離が起こることが明らかにされた。また、基板との相互作用が弱いカルボニル酸素励起の方がO+脱離が顕著であり、相互作用が強いヒドロキシ酸素の励起では脱離が顕著でないといった表面特有効果が見い出された。
関口 哲弘; 関口 広美*; 田中 健一郎*
Surface Science, 390(1-3), p.199 - 203, 1997/00
被引用回数:4 パーセンタイル:33.04(Chemistry, Physical)放射光励起によって引き起こされるイオン脱離反応は表面反応の解明や表面状態および構造に関する知見を与えるものとして近年注目を集めている。イオン脱離反応の機構をより深く理解するためには、励起により表面上に生成する多電荷イオン中間体をなるべく直接的に観測することが望ましい。本研究は気相の光化学反応過程を調べるのによく用いられる手法である光イオン・光イオン・コインシデンス分光法を表面反応に応用することにより多電荷イオン中間体の反応挙動を調べたものである。HO/Si(100),DCOOD/Si(100)DCOOCH multilayer試料の結果を示すとともに、各々の結果を比較した。その結果(1)コインシデンスの励起スペクトルは多電子励起領域で大きな増加を示すこと、(2)これら励起スペクトルの立上がり敷居エネルギーは吸着種と基板(又は周囲吸着種)との相互作用を反映して、各々大きく異なること、等が見出された。
関口-池浦 広美*; 関口 哲弘; 田中 健一郎*
Physical Review B, 53(19), p.12655 - 12658, 1996/05
被引用回数:28 パーセンタイル:79.44(Materials Science, Multidisciplinary)Si(100)上に化学吸着した重水素置換したギ酸からの光刺激イオン脱離反応について結合を選択したC 1s電子励起によって研究を行った。各イオン収量は励起エネルギーに強く依存し、特定の反結合性軌道への励起によって選択された結合が切れ、それによりイオン収量が増大することを見い出した。結果は吸着系での内殻イオン脱離に対して提出された2ホール1電子反応機構の妥当性を示した。更に(C-D)/3S Rydberg混合励起状態に相当する共鳴ピークで、Dピークは(C-D)価電性励起に、CDピークはRydberg性励起に分離されることが見出された。また、INDO/CI分子軌道法による励起電子状態理論との比較を行い脱離機構を考案した。
関口 哲弘; 関口 広美*
Atomic Collision Research in Japan, 0(22), p.89 - 90, 1996/00
ギ酸メチル分子のいくつかの内殻励起状態における波動関数が各官能基や結合に局在しているという研究背景を元に、高エネルギー分解能の軟X線分光器により内殻励起状態を選択励起することにより「結合を選択した光化学反応」の可能性を検討した。実験手法としてはパルス放射光を用い、同位体置換ギ酸メチルの吸着系から脱離するイオン種を飛行時間質量分析法により観測した。各イオン収量の励起スペクトルは吸収スペクトルとかなり異なり、イオン脱離確率が初期内殻励起にかなり依存していることが見出された。特にDとCHイオン脱離確率が大きく増加した励起はC 1s(CH)(O-CH)とC 1s(C=O)(C-D)といった反結合性軌道への電子遷移による結果であると解釈された。この結果は励起エネルギーを変化させることにより分子内の反応部位(サイト)を任意に選択することができる可能性があることを示したものである。